24/5/6〜5/12_経済ニュースまとめ3選

24/5/6-5/12
1,トヨタがKDDI株を2%売却。政策保有株の売却すすむ
2,TOPIX構成企業の年間配当総額は10年前の2倍超に
3,「マグニフィセント7」、幹部や取締役の自社株売りが加速

トヨタがKDDI株を2%売却 電動化など投資資金捻出

トヨタ自動車はKDDI株の一部を約2000億円で売却する。KDDIが10日に自社株買いと自社株TOB(株式公開買い付け)を発表し、トヨタが売却を申し入れていると明らかにした。車の電動化や知能化に向けた投資資金を捻出するとみられる。

以下、株式会社KDDI「自己株式の取得及び自己株式の公開買付けに関するお知らせ」を引用

KDDI(以下、当社)及びトヨタ自動車は、2002年以降はトヨタ自動車のコネクティッドサービス等で協業してきました。また、クルマのインターネットへの「つながる化」が進む中、当社及びトヨタ自動車は、2016年から車載通信機とクラウド間の通信において、高品質で安定した通信をグローバルに確保するために、従来のローミングサービスなどに依存しない、グローバル通信プラットフォームの共同構築を推進するなど、クルマと通信の融合によって安全や快適さを提供する取り組みを加速させてきました。しかしながら、昨今、トヨタ自動車は、厳しい競争を勝ち抜き中長期的な成長を実現するため、モビリティカンパニーへの変革に取り組んでおり、「電動化」、「知能化」、「多様化」をテーマとした多額の投資が必要となる見込みから資産の有効活用や政策保有株式の縮減にも注力しているとのことで、その一環として、当社は、トヨタ自動車から当社株式の一部売却の申し入れを受けた。

金融庁と東証は、中長期的な企業価値の向上に向けたコーポレートガバナンス・コードの中で、政策保有株について、縮減に関する考え方など保有の方針を開示すべきなどとして、投資家への説明を行うよう企業に求めています。

政策保有株ってなんだろう??

取引先との関係の維持・強化などを目的に企業が保有する株式のことよ。

取引先と相互に保有する「持ち合い」の場合も多く、買収防衛策としての効果を期待して保有する例もあり、日本企業の間で広く浸透したよ。

今後、政策保有株式の売却が加速することで、 売却益も大体億円単位で計上されます。この売却益が、事業成長投資の原資となるか、株主還元強化の原資となるかが注目されており、期待先行で株価は上昇していると思われます。
なお、上位にはメガバンクと損害保険大手が並び、保有銘柄数が多く、1社あたりの保有割合はそれほど大きくないのが特徴だが、業会社で上位に入った、3位のトヨタ自動車、7位の京セラ、11位の豊田自動織機、12位のデンソー、14位のNTTの売却益活用に注目したい。

上記は2023年8月東洋経済「株持ち企業ランキング」より引用。

TOPIX構成企業の年間配当総額は10年前の2倍超に

このところの日本株上昇の大きな原動力となってきたのが、コーポレートガバナンス(企業統治)改革があげられる。東京証券取引所は市場再編を行った2年前から、株主還元を強化するよう経営者に圧力をかけ始めており、ガバナンス改革の流れは一気に加速した。

コーポレートガバナンスってなんだろう??

配当金の増額や自社株買いなどによって株主還元をすることで、資本コストを意識した経営のことよ。

東証株価指数(TOPIX)構成企業の2022年度の配当総額は17兆円となり、10年前の7兆円程度と比べ2倍以上に増加。配当性向も波はあるが、この間26%から36%に上昇したと考えられる。さらに、自社株買いは約10兆円と10年前の5倍に増えた。配当と自社株買いを合わせた総還元性向は昨年度53%に達し、純利益の半分以上が株主に還元された。 ※13年度は総還元性向は35%程度だった。

なお、総還元性向にはまだ上昇余地がある。との期待感もある。還元強化を声高に叫ぶアクティビスト(物言う株主)は、日本企業が過去十年以上にわたりため込んだ大量の現金が標的だ。金融機関による貸し渋りを恐れる経営者にとって、現金は万一に備えた頼みの綱だが、本来は成長投資などに振り向けられる資本が何も生み出さず、蓄積されていることは株主の目には非効率に映る。一方、人口減少による市場の縮小という構造問題を抱える日本では、成長投資の機会が限られるのも事実で、その場合は資金を株主に還元すべきだという流れになる。東証が今年から資本コストや株価を意識した経営に取り組む企業リストを公表し始めたことで、投資家は一段と期待感を高めている。

東証が優良事例企業として紹介した29社
2024年3月末時点で東証プライム市場上場企業のうち、54%が東証の要請に応じて資本効率改善に向けた計画を公表。企業側の取り組みを投資家が評価していると東証がお墨付きを与えた。

2023年末以降で合計約249億円相当を売却

ブルームバーグによると、米株式相場活況の大きな原動力となってきた大手ハイテク7社「マグニフィセント・セブン」では、幹部や取締役ら十数人が最近、保有する自社株の売却を増やしたことが判明。2023年末以降の売却額は合計で1億6000万ドル(約249億円)余りに上った。売却した中には過去9年間にわたり持ち株を削減していない幹部もおり、アマゾン・ドット・コムの創業者ジェフ・ベゾス氏やメタ・プラットフォームズのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)に追随する動きだ。

原題:Magnificent Seven Insiders Sell Stock for First Time in Years(抜粋)

また、グーグルの親会社アルファベットのスンダー・ピチャイCEOは、今年これまでに売却した自社株の規模が既に昨年通年を上回っており、今月までに報告された二十数回の売却で総額3000万ドルを手にした。アルファベットの株価は昨年の年初から90%超値上がりしている。アルファベットの広報担当者はピチャイ氏の売却について、トレーディング計画に沿って行われたと説明。

こうした動きはシリコンバレーの企業が、保有自社株の含み益をどれほど確定させているかを浮き彫りにする。テクノロジー株はインフレ加速や利上げを要因とした2022年の低迷から立ち直り、最高値を更新した。エヌビディアは今年に入り83%上昇し、マグニフィセント・セブン銘柄でパフォーマンスが最も好調。S&P500種株価指数の中でも3位に付けている。

マグニフィセント・セブン銘柄って??

テクノロジー業界の巨人たちのことで、アップル(Apple)、アマゾン(Amazon)、アルファベット(Alphabet / Google)、メタ(Meta / 旧Facebook)、マイクロソフト(Microsoft)、エヌビディア(NVIDIA)、テスラ(Tesla)の7銘柄のことよ。

投資銀行グライフ(本社ロサンゼルス)の創業者、ロイド・グライフ氏は「豚が太れば、屠殺(とさつ)されるということを彼らは皆理解している」と指摘。「株式相場の頂点を完璧に予測することは誰にもできない。現時点でかなり泡立っているように見えるのも確かだ」と述べた。

〜たぬきの投資メモ〜

米国のゴールドマン・サックス・グループのトレーディング・デスクが「地球上で最も重要な銘柄」と呼ぶエヌビディアの決算発表は来週の5月22日。期待を裏切るようなら米国株全体が下落し、株主還元に積極的な日本企業の個別株であっても、一時的には連れ安となるであろう。長期積立目的の高配当株を買い増しするには、いいタイミングかもしれません。ただし、「落ちるナイフ」は危険なので、自己責任でお願いしますね。

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